「さくらのレンタルサーバ」と「さくらのメールボックス」は同一ドメイン下で併用できない

いつもお世話になっているコスパ最強クラスのレンタルサーバ「さくらのレンタルサーバ(以下レンタルサーバと略称します)」と「さくらのメールボックス(同じくメールボックスと略称します)」ですが、執筆時点で「レンタルサーバ」をウェブサーバとして、「メールボックス」をメールサーバとして同じドメイン下で併用することは原則できないことがわかりましたので、書き記しておきます。

なぜわざわざ両者を併用するのか

「レンタルサーバ」にはメールサーバとしての機能も備わっています。基本的にこれだけ借りればウェブサイトもホスティングできるし、メールも使えます。だからいちいち「メールボックス」を追加で借りる必要はありません。しかし私は多くの案件でウェブサーバとメールサーバは別々のものにすることをオススメしています。それはウェブサーバをなんらかの理由で移転したいときに面倒になるからです。

ウェブサーバの引っ越しはそう難しくないがメールが大変なのです

過去の記事でも書きましたが、あるドメインが「どのサーバを指すか」という指定はDNS(Domain Name System)という仕組みで制御します。

はじめてさわる人のためのDNS(ドメインネームシステム)入門 – Suikolog

「ブラウザからウェブサイトを見るためにsuikoudesign.comにアクセスしたらこのサーバに行く」「suikoudesign.comへメールを送信する場合はこのサーバに行く」というように目的別にドメインが指定するサーバを振り分けることもできます。

DNSがリクエストを振り分けるイメージ図

ウェブサイトの場合は古いサーバから新しいサーバに内容をまるまるコピーして、DNSのAレコードというやつの値を新しいサーバのIPアドレスに書き換えてあげれば原則それでOKです。大体数時間のうちに、移転が完了してしまいます。

メールの場合もそれは同じで、MXレコードというやつを新しいメールサーバに振り向けてあげればメールの行き先は変更されるのですが、そのメールサーバから利用者がメールを引っ張り出すのが大変なのです。利用者がメーラーを利用している場合、メールの送受信に関する設定をそれぞれ変更してもらわないといけません。また利用者それぞれのメールサーバへのパスワードを新サーバにうつすために、事前の聞き取りが必要だったりしますし、利用者全員が独力でメーラーの設定をできるケースはまれです。もちろんメールが受け取れない・送信できないという時間は業務に関わるので必要最低限にしなければなりません。

要するにメールアカウントが多ければ多いほど、メールサーバの移転という作業は困難を極めます。失敗があれば業務に悪影響を与えるリスクも高い。できれば避けたい仕事です。

ウェブサーバとメールサーバは別々にしておきたい理由

昨今、ウェブページ表示速度の重要性が多くの人に説かれるようになりました。速度向上を目的としたウェブサーバの引っ越しについてもニーズが高まっています。さきほど述べたようにウェブサーバのみの引っ越しはそう難しくありません。しかしメールが絡むと大変です。

移転するぞという段で「さくらのレンタルサーバ」のようなウェブ・メール一体型のサービスの場合、ウェブサイトの移転は実行しても、メールサーバはそのまま残しておきたいということになります。その場合「さくらのレンタルサーバ」を解約することはできず、旧サーバの固定費がそのまま残りながら、新サーバの固定費が積み増されるという結果になってしまいます。

さて、さくらインターネットのサービスに「さくらのメールボックス」というのがあります。これは「さくらのレンタルサーバ」の機能制限版というべきもので、ウェブサイトホスティングに関する機能を削り、メールサーバとしての利用に特化したサービスです。特筆すべきはその安さで、なんと年額1000円ちょっとという破格でメールサーバを借りることができます。

このサービスを知っていると、メールのためだけに「レンタルサーバ」を借りつづけてもらうのはちょっと申し訳ない(それでも年額6000円ほどなんですけどね)。だから、最初からウェブサーバとは別に「さくらのメールボックス」を借りてもらって、身軽に引っ越しが可能になるようにウェブサーバとメールサーバを別々にしておきたい、というのが私がおすすめしたいプランなのです。

「さくらのレンタルサーバ」と「さくらのメールボックス」には同じドメインを登録できない

前置きが長くなりましたが、そうした理由でさくらで「レンタルサーバ」と「メールボックス」を契約してみます。それぞれに独自ドメイン「example.com」をDNSで当て、ウェブサイトのリクエストについては「レンタルサーバ」にメールについては「メールボックス」に、と振り分けたいわけです。

DNSにレコードを書き込む前に、まずは両者のサーバコントロールパネルに入り、割り当てるドメインを登録しないといけません。まずは「レンタルサーバ」のコンパネに行き「example.com」を登録します。その後「メールボックス」のコンパネに移動して同じく「example.com」を登録…

あれ?

スクリーンショット:「指定されたドメイン名は登録されています」というエラーメッセージが表示されている

指定されたドメイン名は登録されています」とエラーメッセージが出て登録ができない。

このように「さくらのレンタルサーバ / メールボックス」では複数のサーバに同一のドメインを登録することはできません。おそらくそれはセキュリティ上の理由によるものだと思います(ちなみに「さくらのVPS」や他社レンタルサーバと「メールボックス」の組み合わせならOKです)。

「メールボックス」にドメインを登録していない状態で無理やりDNSのMXレコードを「メールボックス」に振り向けてみても、残念ながらメールはサーバに受け入れられず、エラーが返ってくることになります。

ということで、原則同じドメイン下で「さくらのレンタルサーバ」と「さくらのメールボックス」は併用できない、ということになります。

回避策は一応ある、が。

この問題、@yakumo_x さんが裏技的な回避策を教えてくれました。ただ結論から言うと、そのやり方ではできないことが生じますので、私のケースでは採用できませんでした。

ウェブサーバ側コンパネにはドメインを登録しなくても通る

さきほどのケースでは「レンタルサーバ」にドメインを登録し「メールボックス」には登録しなかったのでメールが通らず、という結果になりました。逆に「メールボックス」のコンパネでドメインを登録し「レンタルサーバ」に登録せずのままDNSを設定してあげると…

通りました。メールは通じ、ウェブサーバにもブラウザからアクセスできます。「レンタルサーバ」側コンパネにはドメインを登録しなくても通る、ということでした。これで一件落着…かと思えばそうでもありません。

マルチドメイン対応ができない

さくらのレンタルサーバの公開領域中でディレクトリを切り分けて任意のドメインを当てることができるマルチドメイン機能が、ドメインを登録していないため使えません。DNSで割り当てたドメインは公開領域のルートに割り当てられることになります。とはいえ、このあたりはhtaccessファイルを自分で記述してなんとかできるようにも思います。

SSL設定ができない

ページ表示速度と同様に近年重要視されているのがSSL対応です。2017年10月からさくらのレンタルサーバでも無料SSL証明書の提供がはじまり、SSL対応へのハードルは大きく下がりました。こうした対応がコンパネから簡単な設定で実現するのがレンタルサーバの魅力のひとつです。しかしながら、上記の方法ではドメインがウェブサーバ側のコンパネに登録されていないため、設定をすることができません。

以上の理由から、「さくらのレンタルサーバ」をウェブサーバとして、「さくらのメールボックス」をメールサーバとして、同一のドメイン下で利用することはできなさそうだ、という結論に至りました。

さくらインターネットさんへの要望

複数のさくらのレンタルサーバ(メールボックスも含む)に同じドメインを登録できないのはおそらくセキュリティ上の理由だと理解しています。自分のドメインをまったくの他人でも受け入れ可能なように設定できるならば、いろいろと危険なのこともあるのだろうと(なお他社さんがドメイン登録に関してどういうポリシーにしているかは実はあまり知りません)。

ですが、もしも可能であれば「同一の契約者が借りたレンタルサーバ同士」であれば、同一のドメインを登録してもよいようにできれば本当に嬉しいのです。

とはいえ共用サーバの借り主はどんどん変わるものですし、そもそも「同一の契約者が借りている」と判定できる要素があるのかないのか、簡単なことではないことも察しております。そもそもウェブサーバとメールサーバを分けて運用したい、という層はさくらのレンタルサーバ利用者の中では極めて少ない存在でもあろうし、一部の主張のために多くの人が危険にさらされるべきではありません。

ということでそう強く主張するものではありませんが、もしもそうしたことができるようになったら私は嬉しいなあと思います。一応要望として上げておこうと思います。

深沢 幸治郎

このブログ主の夫のほう。大阪を中心に活動するウェブデザイナー。水交デザインオフィス代表。JUSO Coworking運営。趣味でハウス・ディスコDJ / デレマスP。共著書『世界一わかりやすいWordPress 導入とサイト制作の教科書』発売中です。

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