第2章:情報アーキテクチャの定義(2.1 定義)――『情報アーキテクチャ』学習メモ

情報アーキテクチャ 第4版 ―見つけやすく理解しやすい情報設計』の学習メモ第二回目です。前回の記事では第一章をまとめて1つの絵にしましたが、第二章からぐっと内容が濃くなり、また大変抽象的な話になってきたため、いくつかに分けて噛み砕いていこうと思います。このペースだといつに終わるものやら先が思いやられますね。

第2章「情報アーキテクチャの定義」の最初のセクション「2.1 定義」を図にしてみました。

図:「2.1 定義」のサマリー
「2.1 定義」のサマリーを図に描いてみた。クリックすると大きく表示できます。

「情報アーキテクチャ ≒ 情報設計」という言葉から私が想像するのはおもに右上、「組織化・ラベリング・検索・ナビシステムの統合」という箇所です。つまり情報の粒度を定めてユニットをつくり、これをカテゴライズし、それぞれに名前を与える行為、そしてそれを検索やナビゲーションシステムに反映し、ユーザーにとって一貫した情報を構成する、ということですね。

しかしながら図を見ればわかるように、一見すると「これ情報設計なの?」というような物事も情報アーキテクチャのひとつである、というのが筆者の記すところであります。

本書では4つの定義が書かれていますが、解釈に困るものもあり、よくわからない用語を調べたり考えたりしながら図を書きました。以下につらつらと書いていきます。

1. 共有する情報環境の構造デザイン

事実と数字で構成されるデータ・リレーショナルデータベース・コンテンツの提供者の知識・そしてその知識の共有システム…こういった情報環境を構成する要素たちの真ん中に実体のない「情報」という概念が鎮座している、というように解釈しました。これらの要素がどのように相互に作用しあうのかを決定するのが情報アーキテクチャの定義のひとつ、ということでしょうか。

2. デジタル、物理的、クロスチャンネルエコシステム内の組織化、ラベリング、検索、ナビゲーションシステムの統合

ちょっとややこしい書き方ですが、様々なタッチポイント(あるいはチャンネル)を通じて情報設計は行き届いているべきであり、その中で情報の組織・構造・ラベリング・検索・ナビの体験は一貫したものになるように明確化されているべきである、ということかなと思います。私にとってはウェブサイトを作成する上でまず第一に意識にのぼる情報設計の定義です。情報を原子とその構成物として組織化するという記述はアトミックデザインを思い起こさせますが、どちらかというと情報の粒度を原子で表す文化からアトミックデザインの考え方が編み出された、という順序の方が正しいのでしょう。

3. 使いやすさ、見つけやすさ、分かりやすさをサポートする、情報製品とエクスペリエンスを形成するアートとサイエンス

情報の設計法は図書館で大きく発達したという話があります。情報設計の道標・懐中電灯として大きく役立つのは様々な学問であり、それはすなわち先人の積み重ねた知恵をユーザーのために活用するということなのだと思います。しかしながら情報アーキテクト(設計士)はそれだけでは情報を設計することはできず、リスクを承知で自身の経験や直感・クリエイティビティを発揮せざるをえないというのは、デザイナーが飛び越えるべき谷のことを思い起こさせます。

4. デジタルランドスケープのデザインとアーキテクチャに基本原則をもたらすことを焦点に当てた、新たな規律と実践事例のコミュニティ

大変解釈に苦しんだ項目ですが、例えばアトミックデザインのようなデザインの新しい規律を考え、名付け、共有し、実践し、振り返るという一連の行為は確かにデザインであり、またそれはひとつの名前の元に集ったコミュニティとその活動そのものであることを考えれば、割りと腑に落ちる感じがしました。

ちょっと蛇足ですが、こうした「新語」は「すでにあるものに無理やり名前をつけただけの中身のないもの」と軽く見られる向きもあります(多くの場合、なじみの薄い横文字であることが拒否感を催させることもあるでしょう)が、その「名付ける」という行為はより広範な共有のために必要なプロトコルになるものであり、決して甘くみるべきでないと私は思っています。個人的には「コワーキング」という用語が日本に伝わり広がっていく過程を見ているなかでこれを強く実感したものです。

以上、短い範囲ながら意外に話が広がりました。このあとも淡々と続けていきます。

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