独立して9年、だんだん何屋かわからなくなってきたけどデザイナーですという話

2009年12月の独立からおおよそ9年弱が経っています。お客さまは在阪のシステム開発会社さんから東京のアジャイルな課題解決チーム、はたまた岡山のゲストハウスさん、北欧のお教室、地方のスタートアップさん、NPOさんなどいろんな方にお世話になりながらなんとかかんとかやっております。

最近は大きな仕事にがっつり集中…というよりも小規模なお仕事をアレコレとやっていることが多く、任される領域もいろいろになってきました。

ここ数年で増えているのはライティングです。一度プロのライターさんの仕事を見てから自分では速さも出ないしあんまり完成度も高くできてないし…といった理由でサービスから外していたのですが、このところお客さまのお商売の課題や目標からじっくりお話を伺うという機会もちょこちょこ増え、そうなるとコンテンツの企画をやり、じゃあライティングも…という流れができてきました。

はっきりいって私の実力では極めて効率が悪い分野なのですが、さりとてコンテンツから作らせてもらう喜びは何にも代えがたいものがありますし、これをやるとデザイン合意のスムーズさが全然違う、という側面もあったりします。

コンテンツの企画をしているうちに、たとえばペルソナであるとかサイトの目的であるとか、そういう与件が徐々に浮き彫りになって、それに従ってデザインの方針を決めるとわりと合意が取りやすくなるのですね。

ある日はライティング、ある日はHTMLとCSSのコーディング、ある日はCMSの構築、ある日はCMSの運用のオンラインレクチャー、ある日はインターフェイスデザイン、ある日はデザインなしの案件のためにテーマの選定…とやっていることのバリエーションが随分と増えています。

そんな中であなたは何屋なんですかと聞かれることもたまにありますが、私は2年前から迷わず「ウェブデザイナー」と答えてます。私はデザイナーを「ものごとをよくする人、ものごとが動く場を整える人」というくらいの極めてファジーな感覚で捉えていて、とくにウェブの分野に明るいから「ウェブデザイナー」。

CMSを構築しながら運用しやすい仕組みを考えるとか、コンテンツを企画するとか、この先のコードの運用体制を考えながらコーディングをするとか、WordPressの更新方法についてレクチャーするとか、あとは制作会社さんのご指示に対してこれはまずいと思えばちゃんと意見を差し上げるとか。全部がデザインなのだと思いながらやってます。

ただやはり効率がよくない分野は当然出てきますので、そこが個人の限界なのか、それともただの努力不足なのか…というのは結構悩ましいところです。そこで多くの人がディレクションを志向しだしたりするのだろうか…と思いました。

ひとりでやっているとディレクションとデザインの境界は極めて曖昧です。ただよいデザインというものがあるとして、それにはよいディレクションが必要不可欠です。CMSの運営の煩雑さに辟易していたお客さまに、機能を絞りやりたいことにフォーカスした管理画面を提供することには素晴らしい喜びがありますし、入力フォームにどのような文言を入れれば操作に迷わないかを考えながらキャプションを揃えていくのはとてもクリエイティブな仕事だという感覚を覚えます。

私はだから、グラフィックツールを扱う時間が相対的に少なくなりましたが、やっぱりデザイナーなのだと思っています。

なんだか今回は思いつくままにとりとめもなく書きました。

(所要時間:45分)
Photo on Visualhunt.com

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