私が絵を好きな理由

そもそも描くことが好きではあったんだろうけど、
小学生の頃、4年間みてもらった担任の先生の存在がすごく大きい。

昔から勉強はあんまり好きではなく、宿題もそんな真面目なタイプでもなかった私。
怒られてもどこかふわっとしてた子だったと思う(※あんまり悩んだ覚えがない)

そんなふわっと生きてる中で、得意な教科は唯一【図画工作】だった。

ある日、掲示板に貼るモチーフなどの素材集が先生の本棚にあった。
先生に頼んで見せてもらった。

たぶんキラキラした目で見てたんやとおもうけど、その時先生が

「深沢さん掲示係やる?」と言ってくれた。

それからクラスの係はほとんど掲示係に立候補した。

毎月後ろの黒板にはその月の誕生日のクラスメイトの名前を書き、
その周りは季節ごとのモチーフを画用紙で放課後作っては飾り付けた。

春は桜
梅雨は雨粒や傘
夏はヒマワリ
秋は落ち葉をいっぱいつくってリスを走らせた
冬は手袋や雪だるま

大概その係って私一人やったんやけど、全然さみしくない。
つくること自体が本当に楽しかったし、先生に褒められるのも嬉しかった。

そんな私の好きなものを見つけてくれた先生は絵にすごく厳しかった。

「黒は絶対使っちゃダメ。線や色をつぶすから」
「白も出来るだけ少しずつ。いっぱい使わない。絵をつぶすから」
「ベタ塗りはダメ、点々塗りで」
「500円玉の大きさまでしか色は作ってはだめ。いっぱい使うものでも無くなったら作り直しなさい」

とくに人物を描くときはより厳しくて、

「肌色はいっぱい作りなさい。首の色とほっぺたの色は全然違うでしょう?」
「唇の色も人によって全然違う」
「髪の毛は根元から毛先にかけて1本1本書きなさい」

下絵を描くときはかならず茶色のパステル。
筆の洗い方やバケツの水の量、水を変える頻度も頻繁でものすごく忙しい。

最初は子供心に描きにくいし、色は何回もつくるとかめんどくさいし、
せっかく絵具にあるピンクや肌色などの鮮やかな色は使えないし、
点々塗りとかむっちゃ時間かかるし…それなりに最初は自分の中で文句もあった。

男子なんかはすごいぶーぶー言うてる子もいた。

そんなある日、未来の学校という絵を描くにあたってサインペンで線を描くことが許された。

普段使わないハッキリとした線。
水彩で塗ってもにじまない。
漫画みたいなイラスト系もOKが出てすごいウキウキして描いた。
色もピンクや黄色。わざとベタ塗りで塗った。

でも楽しかったのは最初だけだった。

出来上がったものも、なにか思い入れが薄い。
うまく言えないけど、好きな手法で好きな絵を描いたはずなのに達成感がなかった。

なぜそう感じたのかその時は本当にわからなかった。
いや、今もうまく説明できないけれど、

家で息子と旦那さんと絵具を出して工作で遊んでいるときに先生の話になった。

その時旦那さんが

「僕もそういうこと教わりたかったなぁ…」と言った。

その時、私は何だかすごく得意げな気持ちになった。

私は美大出たわけでもないし、専門学校を出たわけでもない。
でもたまにお仕事でイラストを描かせてもらっていて、
でもお世辞にもうまいわけではない。

けれど、先生のお蔭でこんなふわっとした私は、ほんの少し、
色彩感覚と絵の描き方、自分なりの”描くということ”を見つけることができたとおもう。

本当にありがとうございます。先生。

(と、急にしんみりしたこと思いました。感謝!)

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