コワーキングスペースとシェアオフィスの違い

私はフリーランスのウェブデザイナーですが、コワーキングスペース運営者でもあります。

昔も今も運営者がよく聞かれるのは「コワーキングスペースとシェアオフィス、どう違うの?」という質問ですが、最近気になることがあり試しにGoogleで「コワーキングスペース シェアオフィス 違い」というキーワードで検索をしてみました。

その結果、上位を占めている記事の多くに「コワーキングスペースとシェアオフィスの明確な違いはない」あるいは「発祥のカルチャーが異なるだけで同じ意味である」という記述や説明が見受けられました。これは実際のコワーキングスペースを取り巻く現状を素直に表した結果でありましょうが、いっぽうで誤解も生む表現だなと思いました。

わたしはコワーキングスペースとシェアオフィスの違いはあると思っています。まあ7年前からコワーキングスペース運営をやってるコワーキング老人会のおっさんのたわごとと思って読んでください。

コワーキング・コミュニティの要件

まず、コワーキングスペースの冠にかぶされている「コワーキング(Coworking)」はワークスタイル・働き方を指す言葉です。その成り立ちから考えて、その働き方を実践するコミュニティとその活動がなければ成り立ちません。

コワーキングの成り立ちについては以下の記事に簡単にまとまってますので参考にしてください。

コワーキングスペース運営者が知っとくべき知識(基本編) – 仙台のコワーキングスペース「ノラヤ」管理人ブログ

ようするに、コワーキングはもともとは場所に根付かないイベント(Jelly! と呼ばれました)として発生したものであり、その実体はコミュニティにある、ということです。

コワーキング・コミュニティの要件とは以下の通りであると考えています。

  • 機会を設けて同じ場所で、参加者がそれぞれ自立してはたらく集団であること、またはそれに準じた密なコミュニケーションを取りながらそれぞれ自立してはたらく集団であること
  • その粗密に関わらず、コミュニティであること。またはコミュニティになろうという意思のもと運営されている集団であること
  • コミュニティのコミュニケーションやルール運用を取り持つ人・チームなど(極端な話、人工知能でも構わない)が存在すること

逆に、以下のようなことはコワーキング・コミュニティである要件とはいえないものと考えます

  • 専用のスペースを有しているか否かは問わない。たとえばマクドナルドやスターバックスコーヒーもコミュニティがそのように使えばコワーキングスペースと呼びうる
  • コミュニティがオープンであるかクローズドであるかも問わない
  • 会場の設備はコミュニティの性格を決める大きな要素にはなるが、その質・量・傾向も問わない
  • ビジネスとして成り立っているか、成り立たせる意志があるか(あるいは営利であるか非営利であるか)も問わない
  • コミュニティの目的や構成員が得られるであろう利益の質についても問わない。世界征服を目論む悪の結社であろうがコワーキング・コミュニティはつくれる

コワーキングスペースとシェアオフィスの違い

しかし現実的には、コワーキング・コミュニティは運用のしやすさ・持続しやすさ・参加者への利便の提供の観点からコワーキングのための専用スペースや設備(狭義のコワーキングスペース)をベースに生まれ、育つことが多かったわけです。

当然コワーキングスペースはコワーキング・コミュニティが利用するシェアオフィスである、という見立てができます。しかしシェアオフィスはあくまで「有限な設備を複数人数で分け合うことによって利用者がコスト削減などなんらかの利益を得られることを目的として設計されたオフィス設備」を指す言葉であり、それ以上の意味は含んでいません。

前提としてそこにコワーキング・コミュニティがあるかどうか、がコワーキングスペースとシェアオフィスの大きな違いであるといえます。

もちろん最初はコワーキングの場として設計されていなかったシェアオフィスの中で利用者ニーズや運営者の方針などに応じてコワーキング・コミュニティが発生する、というケースは十分ありうることです。逆にコワーキングスペースをうたいながらコミュニティの醸成にはまったく興味がないように見えるスペースも数多くあると聞いています。ですので、簡単にここはシェアオフィスかコワーキングスペースか、と断じられるような状況ではありません。

そういう意味では「コワーキングスペースとシェアオフィスを名乗るところの双方に明確な違いは見出しにくい」という結論はユーザー目線で見ればその通り、という状況になってしまっています。

ですがそこであえて「ここはコワーキングスペースである/ない」と私が断じるとしたら、前段の要件を満たすコミュニティがあるかどうか、ということになりますよ、ということですね。

以上でございます。お付き合いありがとうございました。

最後にちょっとだけ宣伝

わたしたち夫婦が運営しているJUSO Coworking(十三コワーキング)は2010年12月、日本におけるコワーキング黎明期にスタートしたコワーキングスペースです。予約・会員登録のいらない一日利用(ドロップインと呼ばれます)から月極での利用・イベントスペースとしてのレンタル利用にまで対応しています。

大阪・十三のコワーキングスペース・JUSO Coworking

 

深沢 幸治郎
このブログ主の夫のほう。大阪を中心に活動するウェブデザイナー。水交デザインオフィス代表。JUSO Coworking運営。趣味でハウス・ディスコDJ / デレマスP。共著書『世界一わかりやすいWordPress 導入とサイト制作の教科書』発売中です。

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