Suikolog

既婚・子持ち・共働きのフリーランス生活を円滑にするために

うちには1歳と7ヶ月ほどの息子がいます。かわいい盛りではありますが、仕事をする上で子どもがいるということは大きな制約にもなるということは、いちいちここで述べるほどのことでもないでしょう。

先日にUstreamで放送された「東京フリーランスミーティング」で私が気にかかったのは「既婚・子持ち」のフリーランスの少なさでした。大阪で同業者の集まりがある場合でも、フリーで子持ちという方はなかなかお目にかかりにくい。
これにはもちろん要因がたくさんあるのだと思います。子どもを養える安定した収入プランが成り立たない、親を含む周囲から理解されない、生活そのものに一切の余裕がない…思いつくままに言っても数えきれないほどです。

妻は私と働いているのですから、当然共働きというわけで、0歳と半年の頃から子どもは保育園に預けています。とはいえ、17時に必ず迎えにいかねばならないということはなかなかに大変です。また妻は幾度となく「子どもが小さいのに可哀想」「子どもを持ってる妻が働いたり遊んだりするなんて考えられない」と悪気がなくても心ない言葉をかけられたまに悩んでいます。

おもに制作業務は私が行なっていますが、妻も経理業務やプロジェクトのマネジメント、ビル管理にまつわるいろいろな作業に毎日忙殺されています。おまけに今年に入って私が自分の楽しみ半分、セルフブランディング半分で様々な活動を始めました。Ust番組やDJ活動、HTML+CSSの講座、昨年立ち上げたワーキングスペース「JUSO CoWorking」の様々なイベント…。こうしてますます私たちには私たち自身の時間を削っていきました。

そんな中で幾度も行き違いがありましたし、喧嘩だってよくしました。その多くは子どもができてから一気に噴出した問題でした。単純に私たちには時間が足りなかったのです。そして今でも二人して苦しいな、つらいなと思うことは正直いってあります。

しかしそうした生活の中でこそ、私は少しでもこれらを改善していくために自分から頭を働かせることができたのだと思います。今回は既婚・子持ち・共働きのフリーランスの夫側の観点から、こうした状況を打破するための習慣や心がけを書いてみたいと思います。

1. 家事は「手伝うもの」という固定観念をなくす

これは別にフリーランスに限った話ではないのですが…

夫というのは家事に関して受け身になりがちです。私の場合はそもそも家のメンテナンスに興味のない人間だったので、妻が目指す目標の高さに半ば呆れ「そこまでしたいならするがいい」と妻に任せる分野が多々ありました。もちろん私も家事はしますが、自分が覚えた範囲・できる範囲からなかなか抜け出そうとせず、結局「手伝い」程度の参加に留まるものでした。おまけに「手伝いをがんばってる自分は立派だ」という自信まで持っていました。

しかしこれでは当然、家事に関わる時間に著しい不公平が生じます。もちろん夫婦間で昼の仕事量や重要度に差があったりすることもありますので同じだけの量をすることにこだわってはいけませんが、大切なのは互いに「ベストを尽くしている」ことをアピールしあい、認めあうことなのだと思います。

そのためには「手伝う」という意識から抜け出さなければなりません。家のことを全体的につかんでいるディレクターは妻ですが、ディレクターにおんぶにだっこなデザイナーが嫌われるように、夫が「手伝う」という意識ではまだ足りません。デザイナーやコーダーのみなさんはディレクターさんの「お手伝いをしている」とは意識していないでしょう。それと同じことだと思います。

共通の意識を持って日々のルーチンワークを何時までにフィニッシュさせる、そういうイメージの共有が大切です。
不得意な分野にもどんどん手を出していきましょう。恥ずかしがらずにやり方を聞きましょう。手順が難しいものは携帯電話で妻の作業をビデオ録画しましょう。これで一人ででも最低限のことはできるようになります。できることが増えればそれだけ状況に応じたアサインをディレクター(妻)がやりやすくなります。

2. イベントごとや繁忙期などによる家事への不参加は、必ず事前報告

私は子どもがいながらでも比較的好きなことをやらせてもらってる方だと思います。各種イベントへの参加、毎週のUstラジオ、DJや夜のひとり遊び。もちろん好きなようにはできませんが、それでも恵まれています。ただ、それもやりかたを間違えれば簡単に不和が起こります。

言いにくい気持ちを抑えて、事前に相談をするのが一番大切です。もしも不服がありそうなら、埋め合わせや代替案を出しましょう。場合によってはやりたいことを我慢することも大切です。

3. 可能な限り夕方を家事に費やす

私たちの家事のピークは夕方18:00〜23:00ごろです。

  1. 子どもに夕食を作り、食べさせる
  2. 風呂の掃除、お湯入れ
  3. 自分たちの食事の用意、夕食
  4. 子どもを風呂に入れる
  5. 子どもの寝かしつけ
  6. 食器洗いやキッチン周りの掃除
  7. リビングの片付け
  8. 洗濯と部屋干し
  9. 育児日記をつける

ざっと数え上げてもこれだけのことをせねばなりません。また子ども相手のことは所要時間が読めません。どちらかが想定外に子どもに手を取られれば、どちらかが率先して他の仕事を引き受けなければその日の内のフィニッシュは絶望的です。

ここで注目したいのはピーク時の走り出し、18:00〜19:00の時間帯です。子どもにご飯を与え、かつ自分たちの夕食を準備し、風呂の用意をする…ここに余裕があると後がぐっと楽になります。食器をあらかじめ洗っておけるし、風呂を速やかに終えることは洗濯機(うちは残り湯を使います)を早めに回せることにつながります。

だから私は仕事に集中していても、遅くとも19時に帰るようにこころがけています。残りは早く家事を終わらせてその後の時間にやろうという発想にするのです。本当は18時に帰りたいのですが、そこまではなかなかできていません。しかし18時に帰ったときの効率は本当にいいですよ。もうちょっと頑張りたいポイントです。

フリーランスの便利なところは「時間の使い方を自分で設定できる」ところです。〆切は夕方までに設定してできるだけ19〜21時あたりに仕事であくせくする状況を作らないこともとても大切です。

4. 家事は自分の仕事の土台固めの作業であると心がける

自分の仕事に誇りがあればあるほど、自分の仕事は特別で他に優先されるものなのだ、という錯覚を無意識下で起こしがちです。つい仕事に夢中になって連絡もなく家事をおろそかにした、という場合、大体その無意識が悪さをしています。

そしてそんな状態のときほど、自分のしたい仕事を後においてでも家事を頑張ってくれている妻の不信をまねき、それを指摘されても謝ったり反省する気持ちさえ湧いてこなくなります。これで泥沼にはまるとさあ大変、数日にわたって妻が横にいる職場で気まずい思いをせねばなりません。

「自分の仕事は何よりも優先されるべきこと」という観念をできるだけ抑え、その基礎は確実な家事の遂行の上に成り立っていることを意識するようになりました。そうすれば 家事と仕事上のタスクがだんだんと同一線上に並んできます。
例えば料理人の仕事はクリエイティブですが、その基礎は仕込みというルーティンワークが支えています。家事を自らのクリエイティブの源としてとらえることで、少しでも意識が高まるきっかけになったのではと思っています。

5. わずかな時間をどう使うかが勝負

上記のような私の気づきもあってか、ここしばらく家事のフィニッシュタイムは数時間も早まりました。この時間を日頃のたくさんの業務に+αを与える時間にしようと思っています。それがUst番組だったり、名刺の作成だったり、自分のブログに手を入れる時間だったり…ちょっと遊びにいかせてもらってもいいかもしれません。
まとまった時間はなかなかとれませんが、積み重ねとそれを支えるしっかりした方針立てが勝負になってくると思います。

もちろん、数日に一度は家族でのゆっくりした時間に当てることも忘れずに。

さいごに

今でもよく妻の機嫌を損なってはへろへろ働いています。ここに書いたことはあくまで心がけであり、私がそれをできているかというとまだまだです。ですが、目標としてこれくらいのことをできるようになりたいということです。

私の事務所は家内自営業であるという特殊なケースです。家と事務所が密接にリンクしていること、家事の滞りがもろに仕事に影響することを意識しやすかったのは幸いだったと思います。

私たちにとって子どもがいることはとても幸せなことです。それが生きる目的になるくらい幸せなことです。

けれど、そのためにしたい仕事ができなくなるのでは、なりたい自分になれなくなるのではと不安な方も多いと思います。
実際、我慢せねばならないこと・つらいことはどうしても避けることはできません。けれど、自分のやりたいことを遠回りしてでもやり遂げることはきっとできると思います。

私も子どもを育てながら、妻と笑いながら、尊敬するべき周囲の皆さんと同じような素敵なクリエイターになりたいと願いながら日々を生きています。

同じような境遇にいらっしゃる方や、子どもをもちたいと思ってらっしゃる方の参考になれば幸いです。

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